舌を見てわかること

西宮 甲子園鍼灸治療センター

舌を見る『舌診』

東洋医学には、特殊な診察法があります。

その一つが、舌を見る『舌診』です。

患者さまの舌を目で見て、その色や形などから、体の傾向を読み取ります。

この舌診は、東洋医学ではとても重要で、手首の動脈に触れて診察する『脈診』と共に欠かせない診察法です。

健康は、きれいで美しい。

舌を見て何が分かるの?とおっしゃる方もいるかと思います。

でも、人間の目って、なんとなくいろんなことを読み取っているんですよ。

その読み取っている感覚の一つに、きれいだとか、美しいなんていう美的感覚があります。

その美しさに対する感覚は、食欲につながったりします。

料理は目で味わう、なんていう言葉がそれですね。

目で見るという診察法にもこの感覚はとても大切です。

ちょっと変な話ですが、がん細胞なんて、もう見るからに恐ろしいものとして眼に飛んできます。

そのように人は、視覚で判別しているんです。

それは、受け入れられるものか、それとも、受け入れ難いものかを見分けているんです。

なぜ、このような話をしているかといいますと、

「健康な舌とは、きれいで美しい」

ということなんです。

きれいで健康的な赤ちゃんの舌

舌がどうなっていたらどんな病気だとか勉強したくても、基準がなければ判断が出来ませんね。

やはり、健康的な舌を知っておかなければなりません。

それを知って、絶えずそれをイメージして、病気の舌を見れば、どこがおかしいかを見抜くことができるわけです。

では、どうやって、健康な舌を見ることが出来るのか?

それは、赤ちゃんや幼児の舌をいることです。

柔らかそうなのに張りがあり、でも硬すぎず、きれいな色で美しい舌です。

舌診に興味がおありの方は、ぜひ、見せてもらってください。

そして、自分の舌と比べてみてください。

大人の舌にどれほど色むらがあり、表面が荒れているか。

それは肌ツヤでも言えることですね。

子どもの肌と大人の肌を見比べるようなものですね。

健康な舌を表現すると

東洋医学で理想的な舌の状態というのは、誰が見てもきれいで健康そうな舌ということです。

健康な舌というものをあえて言葉で表現してみますと・・・、

ピンク色で、

適度な潤いがあり、

白く薄い舌苔がまんべんなく生え、

張りがあって、

それでいて硬すぎない舌。

この健康的な舌を「淡紅舌の薄白苔」といいます。

これを基本に病の舌を見分けるわけです。

舌の色が薄ければ、冷えています。

赤ければ、熱を持っています。

舌苔が厚ければ、体内に未代謝の物質が残っている、またはカゼを引いています。

また、シミやムラも良くありません。

シミは血流が滞っているととらえます。

それを東洋医学では、「血お」や「お血」と呼びます。

このように東洋医学では、舌を見ることで患者さまの体を読み取ります。

鏡を使えば、患者さまにも舌を見ていただけるので、脈診とは違って視覚的に体の状態をご説明できる便利な診察法です。