プロ鍼灸講義初級 内因とは
伝統鍼灸が考える病の原因についてお話します。
伝統鍼灸では、症状の治療とともに、原因を追求して、再発を防止することを大切にしています。
発症する原因を治し、病にならないようにすべきと考えているのです。
ですから、未だ病ならざるを治すということで、未病を治すというわけです。
これは、漢方薬と同じ考え方です。
伝統鍼灸では、病の原因を大きく2つに分けることができます。
今回は、まずは体内の原因について、ご説明します。
体内にある臓腑・気血水・経絡に異常があると病になると考えられています。
臓腑は臓と腑に分かれます。
臓は、肝臓・心臓・脾臓または膵臓・肺臓・腎臓のことです。
心包を加えることもあります。
腑とは、胆のう・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦です。
その他に、子宮なども腑に含まれます。
これら臓腑は、経絡とワンセットで考えられています。
ですが、臓腑と経絡は関わりはありますが、同じものではありません。
臓腑と経絡を一緒に考えてしまうと、臓腑の治療をしているのか、経絡の治療しているのかわからなくなってしまいます。
臓腑と経絡の病は違うものであるという認識が重要です。
のちのち臓腑と経絡の診察法を分けてご紹介します。
それを認識していただくためにも、ここでしっかりと臓腑と経絡は別のものであると認識しておいてください。
そして、臓腑の次は、気・血・水です。
体内を流れているもののことです。
気とは、エネルギー・空気・体内電流などの総称だと考えてください。
エネルギーですと、血を気と表現する場合もあります。
電気エネルギーであれば、血とは切り離して考えることができます。
消化吸収した栄養分となりますと、血と分けて考えることができません。
ですから、血の中にあるべき栄養分として気という言葉を使うこともあるということです。
気血と一緒にとらえることもあるということです。
血とは、血液のことです。
あの赤い血のことですね。
この中には血の要素である赤血球とともに栄養素や水分が混ざっているわけです。
水は体内すいぶんです。
リンパ管や腎臓内の水がこれにあたります。
治療をする際は、どこの血液なのか、どこの水分なのかといった細分化を行いますので、とりあえずは、ざっと気血水と覚えておいてください。
そして、最後に経絡です。
体内を流れる経路のことです。
経脈と絡脈に分けて考えます。
体内にあるこれら臓腑・気血水・経絡に異常が起こると病が発生すると考えられているわけです。
それぞれにどのような異常が出るとどのような症状が出るかが決まっているというわけです。
また、症状が出る前に体質として異常を起こしていることが多いです。
それを未病として治療できるということです。
では、次回は、病の原因となる環境要因についてご説明します。