生理不順(月経不順)の鍼灸治療
生理不順(月経不順)に悩まされている患者様が増えています。
生理不順以外の症状で来院されている患者様でも多くの方は生理不順を併発している方が多いです。
また、悩んでいる症状が、実は生理不順に伴って発症していたということも少なくありません。
今悩んでいる症状は、生理周期と関係ありませんか?
もしかすると、生理不順を治せば、その症状も治るかもしれませんよ。
正常な生理周期は25~38日といわれます。
そして、生理期間は3~7日です。
しかし、理想の生理周期は28日です。
規則的な月経周期がみられない状態を「生理不順(月経不順)」と言います。
生理不順が器質的な病によるものもありますし、生理不順が原因で不妊症に陥るということもあります。
その他、生理不順により自律神経失調などの全身症状を発症し、そこから慢性的な精神不安を呈することもあります。
生理不順(月経不順)とは
まず、月経とは性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが周期的に変動することでこる生理的なものです。
月経は、生理現象なので、これが安定して起こることが健康な体ということになります。
生理不順というのは、この生理周期が乱れているものをいいます。
性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、脳にある脳下垂体からのホルモンによって調節されています。
脳下垂体はさらに視床下部(間脳)によって動かされています。
このように、生理周期は脳により管理されているわけです。
生理不順の原因は様々で、病気の場合もありますし、薬の多用などでも生理不順の要因になる場合があります。
生理不順の大きな要因はホルモンであり、その中で多いのは視床下部の女性ホルモンに関する機能がうまく働かなくなるというものです。
この現象は、精神的、肉体的ストレスでも起こり、そこから生理不順が生じます。
なぜなら、視床下部には怒りや不安などの情緒や自律神経の調節とも関係しているからです。
このように、自律神経や精神的なストレスが女性ホルモンと関係しているのです。
調節が乱れると、性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌に影響が出ます。
エストロゲンは子宮内膜を厚くします。
プロゲステロンは子宮内膜に栄養が行きわたる作用を持っています。
ホルモンが不足すると子宮内膜に異常が起こり、不正出血や生理不順を起こすことになるのです。
ですから、生理不順は自律神経や情緒の症状を併発することが多いです。
そうなると、消化器症状や精神症状も起こってきます。
このように、ホルモン分泌と自律神経、そして情緒は密接に関係しているのです。
生理不順(月経不順)と東洋医学
ここまで生理不順の説明をしてきましたが、すべてのストレスが生理不順を引き起こすわけではありません。
では、生理不順になってしまう要素とは、他に何があるのでしょうか?
東洋医学では、生理周期は「冷え」により悪化するとされています。
月経周期は、やはり、28日周期であることが理想です。
また、生理は5~7日間です。
生理不順には、
・月経周期が28日より長い
・月経周期が28日より短い
・生理が5日未満
・生理が生理期間以外に出血する(不正出血)
などがあります。
生理周期が28日より長いものも短いものも冷えが関係しています。
大体において、生理周期が長くなるものは、腰が冷えていることが多いです。
そして、短くなるものはお腹が冷えています。
お腹が冷えているときは、不正出血を起こしたり、生理出血期間が長くなります。
出血期間が短いものは、血虚といわれる血が少ない体質であったり、子宮に血が少ないなどです。
これらの原因すべてに冷えが関係しています。
東洋医学では、冷えは身体の機能を低下させると考えられています。
特に、婦人科症状である生理不順や不妊は「冷え」が原因と考えられてきました。
冷えが発生する原因は様々です。
体質もありますし、その他にストレスや生活習慣、環境なども原因になります。
今は体でなく頭ばかりを皆さん使っています。
そうしますと、頭に血が上り、結果、動かさない体の血流は悪くなり冷えてきます。
冷えのぼせのような症状になります。
こうなると、下半身が特に冷えるので、婦人科の症状が出やすくなります。
これは生理不順を発症させるのみでなく、更年期障害も悪化させます。
西洋医学での生理不順などの婦人科の治療では、薬で不足しているホルモンを補充します。
ですが、これは症状を抑える効果はあるのですが、月経不順の原因を治すわけではなく、これを続けていくと体は自分でホルモン調節を行なうことを忘れてしまいます。
これでは、いつまでたっても治りませんし、薬をやめれなくなります。
東洋医学では病の根本原因を治療します。
それにより、人が本来持っている機能を回復し、症状を改善します。
月経不順が重い場合は、自然と機能が回復がすることは難しく、鍼灸治療で機能がもう一度呼び起こす必要があります。
そして、性ホルモンがの分泌を邪魔している「冷え体質」を改善する治療を行ないます。
冷え体質を治すための養生法もお伝えして、日々の生活が治療になるようにカウンセリングも行ないます。
「冷え」はどんどんと体の中に積もっていきます。
治療と養生法でからだに積もった冷えを取り除いていくことで月経不順が改善され、再発しにくい体質になっていくのです。
月経不順(生理不順)に効果的なツボ
三陰交(さんいんこう)
このツボは、足首の内側にあるツボで、ホルモンバランスを整えるツボとして婦人科の治療ではよく使われます。
体質に合わせて左右を使い分けます。
のぼせが強い人は主に右の三陰交を、単純に冷えのみが原因の場合は左側を使うことが多いです。
基礎体温表が確認できれば、高温期と低温期を確認し、その以上に応じて左右を使い分けることもします。
石門(せきもん)
身体の中心線上で、おへその下にあります。
このツボは、生理の出血をコントロールするツボで、冷えを取り除いてホルモンバランスを整えても出血が不安定である場合は、このツボを温めます。
子宮筋腫などで、生理出血が多すぎる場合にも有効なツボです。
太衝(たいしょう)
足の甲にあるツボです。
子宮内の血流と深いつながりがあります。
子宮を温める効果として、主に左側のツボをよく使います。
子宮筋腫でも使うツボです。
最後に
ツボは、患者様のその日のお体の状態に応じて使用します。
ツボを揉めば良くなるというのではありません。
ツボ使用や刺激の仕方によっては、症状を悪化させてしまうこともあります。
ツボを治療のために使うときは、必ず鍼灸師に相談してください。