なぜ、毎回「脈」と「舌」を診る必要があるのか?
東洋医学の治療は、患者様の体を部分ではなく、一つのつながりとして「総合的」に捉えることから始まります。
私たちの体は、日々刻々と変化しています。
- 昨日の食べ過ぎによる胃腸の疲れ
- ウイルス感染による風邪の初期症状
- 寝不足による自律神経の乱れ(頭に血が上った状態)
- 仕事のプレッシャーによる慢性的な疲労
こうした、ご自身でも気づかないような「日々の微細なストレス」は、必ず体に現れます。そのサインをいち早く察知し、「今日のあなたに最適な治療」を組み立てるために、当院では「脈診」と「舌診」を欠かさず行っています。
体の設計図を読み解く「3つの診察法」
東洋医学には「四診(ししん)」という伝統的な診察法がありますが、当院では特に以下の3つを重視して、体全体の状況を判断します。
1. 脈診(みゃくしん):全身のバランスを診る
主に手首の動脈(橈骨動脈)に触れ、血管の状態を確認します。
- 強弱・速さ: エネルギーの過不足や熱の有無
- 深さ・形: 症状が体の表面にあるのか、奥深くにあるのか
- 弾力: 血管の締まり具合や、流れがスムーズかどうか これらを通じて、体全体の「バランスの崩れ」をリアルタイムで把握します。
2. 舌診(ぜっしん):内臓のコンディションを診る
舌は「消化器の末端」であり、内臓の状態を映し出す鏡です。
- 色・形: 血液の質や、体力の消耗度合い
- 苔(こけ)の厚さ・色: 消化器の詰まりや、体内の余分な湿気
- 湿り気: 体の水分バランスや乾燥状態 舌を診ることで、特に胃腸の状況や体内の熱の分布を知ることができます。
3. 経穴診(けいけつしん):経絡など流れを診る
ツボに触れることで、硬さなどを確認することで、経絡の流れなどを確認します。
診察は、体に対する「精密なカウンセリング」
これらの診察を行うことで、私たちは以下のことを導き出します。
- 不調の原因はどこか?(体の内側か、外側からの影響か)
- 症状にどうアプローチすべきか?(治療の優先順位の決定)
- 今日はどこまで治療できるか?(お体の受け入れ態勢の確認)
診察なしに鍼を打つことは、地図を持たずに旅に出るようなものです。 毎回、今の状況を「指差し確認」するように正確に把握するからこそ、「自然治癒の手順」を体に的確に指示することができ、高い治療効果へと繋がるのです。
「自分の体がいま、どういう状態なのか知りたい」 そんな方は、ぜひ当院の診察を受けに来てください。あなたの体が出している小さなサインを、私たちが丁寧に読み解きます。

