鍼灸の古い専門書には、季節ごとの健康法が記載されています。
その中には、診察法も書かれており、夏には血管の拍動はこうのようでないといけないなんてことも書かれています。
春から夏にかけての変化をご紹介します。
春の拍動
春というのは、草木が芽をふきだすときです。
つまり、発生の季節ということです。
人の体では、肝が活発に働きはじめます。
この季節では、脈の拍動に撥ねかえすような張りがでてきます。
その脈の状態を弦脈と呼びます。
堅すぎず柔らかすぎない張りのある脈が春の脈では理想的です。
そして、それが夏になると・・・。
夏の拍動
夏というのは、春に芽吹いた草木を含む万物が、どんどんと伸びて脹らみ栄える季節です。
体では心(しん)が良く働きます。
そして、拍動は強くなり、元気でどんどんと流れるようになります。
その脈を洪脈といいます。
ドドドーッと流れが来て、でもゆったりと流れています。
血気が盛んで、元気な脈です。
それでも、夏の暑さに負けると、熱を帯びて速くなったりするのは良くありません。
ゆったりと流れていることが理想です。
季節が体を中から変えていく
得意な季節ってありますよね。
それは、その季節の気候がこのように体の中から変えてしまうからです。
その変化を得意に感じたり、不得意に感じたりするわけです。
それは、その人が持った体の特徴です。
ですから、どの季節が得意かを見つけることが出来たら、生活環境をその季節にとどめる努力をすれば良いわけです。
季節が体にどのような影響を与えるかを知って、対処すれば、苦手な季節でも元気に過ごせるということです。
鍼灸治療では、季節に合わせた患者さまの拍動状態を作ることが大切です。
季節の要素を含みながら、速くもなく、遅くもなく、堅くもなく、軟らかくもない、安定した脈拍に仕上げることが大切です。
それでも、いつもイライラしている人は、ちょっとゆったり目に仕上げるのが良いでしょうし、普段から冷え性で元気のない人は、ちょっと元気な脈にすると心地よいですね。
季節は、環境を一変させますが、体の中までも変えてしまいます。
その季節を踏まえた治療を受けることが大切です。
季節感のある健康を手に入れましょう。