冬の養生:熱を発散せず「陽気」を貯蔵する季節
以前、冬の朝風呂や朝シャワーの危険性についてお話ししましたが、実は「汗をかくこと」もまた、冬の健康法としては注意が必要です。
東洋医学では、冬は「冬眠の季節」、つまり活動を控え、体の熱(エネルギー)を外に発散させず、静かに春を待つ「貯蔵の季節」だと考えます。
この貯蔵すべきエネルギーのことを「陽気(ようき)」と呼びます。
汗をかく行為が「陽気」を消耗させる理由
汗は、体を冷やすために出すものです。つまり、汗をかくという行為自体が、体内の熱を使い、体を冷やし始めているというサインなのです。
冬に汗をかくと、体は貴重な「陽気」を外に消耗してしまいます。
陽気を消耗すると、以下のようなリスクが高まります。
- 風邪を引きやすくなる: 体のバリア機能が低下し、寒邪(寒さの邪気)が侵入しやすくなります。
- 慢性的な冷えの悪化: 本来冬に備蓄すべき熱エネルギーが不足し、春以降の体調不良に繋がります。
特にご高齢の方は、体力の消耗が回復しにくく、風邪から肺炎などの重篤な症状に進むリスクがあるため、冬の汗は避けるべきです。
もし汗をかいてしまったら? 陽気を守る緊急対処法
冬に運動などで汗をかいてしまった場合は、必ず以下の対処を行ってください。
- 濡れた下着の交換: 汗で濡れた下着や肌着はすぐに新しいものに着替え、体表から熱が奪われるのを防ぎます。
- 体の温め直し: 首の後ろや背中など、風門(ふうもん)と呼ばれる風邪のツボがある周辺を中心に、温かいお茶や衣類で素早く温め直しましょう。
冬は陽気を守る養生こそが大切です。当院では、東洋医学の脈診・舌診であなたの体質を把握し、冬を乗り切るための「陽気を守る体質づくり」をサポートしています。冬の不調にお悩みでしたらご相談ください。

