風邪で悪化の五十肩を鍼灸治療

風邪は万病のもと、五十肩も悪化

東洋医学では、風邪の治療、というものが存在します。

その中で有名なものが、風邪の初期を治療する「葛根湯」という漢方薬です。

葛根湯が効く風邪の病状を葛根湯証といいます。

葛根湯証とは、風邪の初期に現れる症状のことです。

葛根湯証とは

葛根湯証には、発熱、頭痛、鼻水、咳、肩こり、関節痛などがあります。

葛根湯証の場合、体表に邪気があると考えられるので、発汗を促して邪気を排出する漢方薬である葛根湯が処方されます。

葛根湯は、葛根、桂枝、芍薬、甘草などの生薬からなります。

そして、五十肩とは

五十肩とは、肩関節の可動域が制限されて痛みや違和感を感じる病気のことです。

五十肩には、原因不明の原発性五十肩と、外傷や炎症などが原因の二次性五十肩があります。

五十肩の場合、肩関節周囲の組織に炎症や硬化が起こっていると考えられるので、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などが処方されます。

また、温熱療法や運動療法なども有効です。

葛根湯証と五十肩に同時になると・・・

葛根湯証で五十肩が悪化するということはあり得るのでしょうか?

答えは、あり得るということです。

葛根湯証は、風邪をひいている状態で、肩の筋肉が固くなります。

ですから、脈診では「滑脈」といわれるコロコロと血液の塊が血管の中を流れているような脈を診ることができます。

そして、風邪の初期では脈が「浮脈」といわれる体表に脈位が移動していることもまた診てとれます。

こうなると、ただでさえ固く動きにくい五十肩は、その症状を悪化させてしまいます。

風邪の治療が大事

風邪は感染症で人体にはとってはとても危険な状況です。

そうなると、五十肩を改善するどころではありません。

しかも、葛根湯証は五十肩を悪化させる傾向にあります。

こうなりますと、まずは葛根湯証を治療しなければなりません。

急に五十肩が悪化した時は、肩の使い過ぎなど見直すことも大事ですが、生活環境も考え風邪を繰り返していないかということも考えるべきです。

葛根湯証と五十肩を同時に鍼灸治療

葛根湯証の治療は、申脈と後渓を合わせることや、合谷を使って治療をします。

それにより、脈診で「滑脈」や「浮脈」が改善したことを確認します。

そして、五十肩の治療を始めることができます。

じつは、「滑脈」が消えた時点で、患者さんは五十肩症状の改善を感じ始めています。

そして、気口九道脈診で肩を取り巻く筋肉連動のどこの異常があるのかを探り、腕や足のツボで治療します。

できれば、痛みのある場所に鍼で強い刺激は避けたいですね。炎症があれば悪化してしまうことがありますので。

ですから、ツボの効果を最大限に活用して、遠距離的なアプローチで肩を治療していきます。

五十肩は様々な要素で悪化

今回は、風邪により五十肩が悪化することを説明しました。

ですが、悪化の原因は必ずしも風邪だけではありません。

アレルギーや冷たいものの食し過ぎ、不眠、目の疲れなど様々なものがあります。

五十肩に限らず、何らかの症状でお悩みの際は、それを悪化させる理由が生活に潜んでいないかを考えてみてください。