東洋医学と環境(風土と旬)

人間は食べなければなりません

人間は生きていくためには食べなければなりません。

食べるという行為で人間は体を作り、体のバランスを保っています。

さて、どういったものを食べれば良いのでしょうか?

東洋医学は、「人間は生きているその土地のものを食べる」ということを理想としています。

その土地のものは、その土地の環境に適したような形でそこに育っています。

つまり、環境に適応できるような要素を蓄えているということです。

その要素をいただくということです。

旬というもの

旬という言葉があります。

これは季節感を表現したもので、その土地のその時期のものということです。

東洋医学では、そういったその時期とその場所というのはとても大切です。

私たちが生きていくためには環境に適応しなければなりません。

この環境というのは、風土です。

風土という言葉は、「風」と「土」ということですから、天候と土地の状態を表しているのかもしれません。

土地で生きる

人間が幸せに生きていくためには、生まれた土地で生まれたものを食べ生きていくというのが理想だとされています。

もちろん天候の急な変化、飢饉などで土地が荒れるということもあります。

そういった変化に適応するということを考えても、普段からその土地のものを食べ、天候に注意しながら、環境を読み、あまり大きく移動せず生きていくのが良いということです。

もちろん移動しながら生きなければならない土地もありますので、自分たちが生きていく土地全体を把握して、環境を考えるということが大事ということです。

風土と旬で生活する 

最近ではこういった風土という言葉もなくなり、旬という言葉も希薄になってきました。

また季節感というものもなくなり、空調設備によって、変化に適応しようとする人間に力が削がれてしまっているように思います。

何か急な変化が起こった時に、人間がどのように対応しなければならないのか普段から考えておくという人間が本来持っている力がなくなってきているのではないでしょうか。

今ある科学技術に助けられている間は良いですが、それを超えた大きな変化に適応していくためには、風土や旬というものを考え、変化に合わせていくことを考えておく必要があると思います。

そういった変化を絶えず考えていることが、また逆に自分の体の変化を捉えることにもつながります。

今、言われている環境問題を考えても、もう一度環境というものの前に自分の周りの風土と旬をとらえて、身近な環境とそれに適応していくて生きていくということについて考えるべきなのではないでしょうか。

環境適応と東洋医学

こういった適応しようとする力を助けるのが、東洋医学の目的の一つです。

患者様がどのような気候に弱いのか、どのような食べ物に弱いのかをとらえて、体に合った生活の方法を提供するということです。

それはつまり、その患者さんがどういった風土で生きているのが理想であるかということを知るということでもあります。

私たちが今、地球上の一点で生きている以上、そこの環境に適応して生きていかなければなりません。

環境を変えれるわけでもなく、私たちを変えれるわけでもなく、上手く調和しながら生きていかないといけないということです。

そのために環境を知り、またその環境からうまく自分が必要な要素を取りこみ生きていく。

それが調和していくということです。

この調和を長く続けるためにも、東洋医学は人はあまり移動せず生まれ育った土地で生きていくほうが容易であると言っているということなのです。