喘息・気管支炎の治療
原因
喘息とは、気道が炎症を起こして収縮し、呼吸困難や咳などの症状を引き起こす慢性的な呼吸器疾患です。
喘息の原因は一つではありませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 遺伝的な素因:喘息の家族歴がある人は、喘息になりやすいとされています。
- アレルギー:花粉やダニ、ペットの毛などのアレルゲンに反応して気道が炎症を起こすことがあります。
- 環境:大気汚染やタバコの煙、冷たい空気などが刺激となって喘息を誘発することがあります。
- 感染:ウイルスや細菌による感染が気道の炎症を悪化させることがあります。
- ストレス:精神的なストレスや不安が自律神経のバランスを崩し、気道の収縮を引き起こすことがあります。
治療法
喘息は完全に治すことは難しいです。
ですが、適切な治療によってコントロールすることは可能です。
西洋医学では、主に以下のような治療法が用いられているようです。(詳しくは、医師の診察を受けてください。)
- 緩解剤:気道を広げる作用のある薬物で、発作時に吸入することで呼吸困難を改善します。
- 制御剤:気道の炎症を抑える作用のある薬物で、定期的に吸入することで発作の頻度や重症度を減らします。
- 環境管理:アレルゲンや刺激物を避ける。
喘息・気管支炎の鍼灸治療
鍼灸による治療効果
鍼灸では、体内の気血水の流れを整えることで、喘息の根本的な原因である気道の不調和を改善することを目指しています。
鍼灸による治療で、以下のような効果が期待できます。
気道の拡張:
鍼灸によって自律神経のバランスを整えるます。
それにより、交感神経の過剰な興奮を抑えて副交感神経を活性化させます。
これによって気管支平滑筋が弛緩し、気道が拡張されます。
炎症の抑制:
鍼灸によって免疫系の調節を行ないます。
アレルギー反応や感染による過剰な炎症反応を抑制します。
これによって気道粘膜の浮腫や分泌物の減少が促されます。
粘液の排出:
鍼灸によって肺の機能を強化することで、粘液の生成や排出を促進します。
そうすることで気道の閉塞や刺激が軽減されます。
西洋医学との併用も効果
鍼灸治療は、西洋医学の治療と併用することで、より効果的な喘息のコントロールが可能になると考えられています。
鍼灸治療は、個人の体質や症状に合わせて、適切なツボや刺激量を選択する必要があります。
鍼灸の特徴的な喘息・気管支炎に対する考え方
鍼灸は、体の総合的な機能バランスを考慮して治療するため、喘息や気管支炎の治療でも必ずしも呼吸器系の治療に留まるものではありません。
消化機能が喘息・気管支炎に与える影響
呼吸するにおいて、気管支の横を通っている食道の状態が良好であるということはとても必要なことです。
呼吸器系を整えるにあたり、消化器系を強化することは、喘息や気管支炎の症状を緩和するのにとても効果的です。
いわゆる胸焼けであるとか胸詰まりというものは、気管支炎や喘息症状においては取り除くべき症状であると鍼灸治療では考えます。
食べ過ぎは、胃の内容物が逆流して食道を刺激し、胸やけや胸詰まりを引き起こす原因になります。
この状態が続くと、食道の粘膜が炎症を起こしたり、喉頭に影響を及ぼしたりして、気管支の収縮や喘息発作を誘発する可能性があります。
特に、夜間に食べ過ぎると、横になったときに逆流しやすくなり、睡眠中に喘息が悪化するリスクが高まります。
鍼灸はどのようにして胸やけ胸詰まりを改善し、喘息の症状を軽減するのでしょうか?
鍼灸は、体の経絡というエネルギーの流れを調整することで、内臓の働きを正常化し、消化不良や胃酸過多などの原因を取り除く効果があります。
また、鍼灸は、自律神経のバランスを整えることで、ストレスや不安などの精神的な要因も軽減します。
さらに、鍼灸は、気管支や肺の機能を強化し、炎症や粘液の分泌を抑えることで、呼吸困難や咳などの喘息の症状も和らげます。
鍼灸で胸やけ胸詰まりを治療する場合は、胃に関係するツボに鍼や灸を施します。
例えば、「中脘」、「足三里」、「内関」、「神門」などが有効なツボです。
これらのツボは、胃の働きを改善し、逆流や炎症を防ぐだけでなく、気管支や肺にも良い影響を与えます。
鍼灸の治療においては、気管支炎の症状だからといって、呼吸器系のことばかり考えるのではなく、その他の様々な症状を考慮して総合的な治療を行ないます。
慢性的な風邪の繰り返しも
また、アレルギーは喘息や気管支炎においては マイナスの要素として捉えられております。
これは免疫機能に異常が発生するということです。
免疫機能においては、患者様によりましては、慢性的に風邪を引いているということが多々見受けられます。
風邪をひいたり治ったりを繰り返しているということです。
それによる喘息・気管支炎の治療には、まず免疫機能の強化が必要になります。
慢性的な風邪ひきの繰り返しを抑え、呼吸器系が正常に働くようにしなければなりません。
鍼灸の総合的な治療
こういった総合的かつ長期的な症状に対する細かな診察と治療を行なっていくことが、鍼灸治療においては重要なことです。
そのような診察を行なうには、体の状況を読み取るための「脈診」や「舌診」などの東洋医学的な所見を取る診察法が重要になってきます。
鍼灸の特徴は、体の声を聞くという総合的な診察法に利点があります。
鍼灸の治療を受ける際は自分の体が全体的にどのような状況であるのかということを鍼灸師に確認することが重要なことで、それを知ることにより、慢性的な症状の治療に大変効果があります。