その場しのぎの治療は、いつか効かなくなります。
ぎっくり腰の治療を受けた方は、痛みが治るとそれで来なくなり、またギックリ腰になるとまた来院するということを繰り返します。
このギックリ腰は、患者様の生活や体質と関係があり、一年の中でいつも同じ時期に起こる傾向があり、患者様からお電話をいただくと、もうそんな時期か、などと治療者側も思ったりします。
このように、その場限りの治療では腰痛の痛みは軽減されますがすぐに再発してしまいます。
年を重ねるにつれて再発の頻度が上がっていき ます。
若いころは良かったと。
若い頃は、ぎっくり腰も治療をするとその場で良くなります。
そして、数年は良い状態が続きます。
重たいものを無理に持ち上げたなど原因を再度起こさない限り痛みは起きません。
ですが、原因が明確ではなく腰痛が起こるようになってくると注意です。
原因がわからない時に気をつけようもないですし、再発しやすくなります。
原因は日頃の腰の使い方に問題があるものなのですが、患者様がその理由に気づけるはずもないので腰痛はどんどんと慢性化していきます。
このような状態になってくると痛みが突然ぎっくり腰のように悪化することもあります。
そうなると、若いころのようにギックリ腰がすぐに治るということも難しくなってきます。
だんだんと腰が変形
慢性の痛みや短期間でギックリ腰などを繰りかえすといった状態を長く続けていると、だんだんと腰の骨の並びが悪くなってきて、変形などを起こしたり、又は椎間板が飛び出して腰椎の椎間板ヘルニアになったり、狭窄症などに進行したりしてしまいます。
ここまで来ると症状は、腰の筋肉をいためたというレベルではなくなってきます。
ここまで進行しても、治療は可能ですが、難しくなってきます。
骨が変形してしまったのであれば、その変形に合わせて筋肉が動きやすいバランスになるよう治療をする必要があり、その筋肉バランスの使い方を練習してもらう必要があります。
椎間板ヘルニアの場合は、ヘルニアが神経や筋肉などに障害を与えないような位置になるよう筋肉のバランスを整えて調整し、これもまた患者様にそのバランスで動いてもらうことを覚えていただく必要があります。
ヘルニアは、マクロファージという免疫細胞によって除去されることが分かっていますので、免疫力を上げることで治療になることもあります。
それでもそれを意図的に起こすことはなかなか難しく、長い間ヘルニアの症状と戦うことになります。
そして、狭窄症ですが、これは椎間板がすり減ることによって起こっている腰椎間の狭窄であれば、筋肉を緩めることで狭窄部分が開放されると、症状は軽減します。
それでも長い間、腰の使い方が悪かったせいで狭窄になっているわけですから、狭窄が起こらない腰の使い方を覚えていただかなければ、治りにくいです。
悪い腰の使い方は、へっぴり腰
最近よく見かける悪い腰の使い方としては、腰は後ろに引いてへっぴり腰になっているのに、胸だけ張って体を起こし、腰を極端にそってしまっているという姿勢です。
このへっぴり腰を治して、腰をまっすぐな状態にしなければなりません。
もし、腰をまっすぐにできないのであれば、胸を張らず腰の角度に合わせて、体を猫背の状態にしておかなければ、腰に負担がかかってしまいます。
このへっぴり腰を治す方法で一番簡単なのは、太もも全面の骨盤の位置を伸ばして、骨盤を立ててあげることです。
そうするとへっぴり腰が治るので、腰がまっすぐになります。
それから、背中を伸ばしてまっすぐ立つということが大事です。
つまり、背筋を伸ばすのは骨盤からということです。
それでも歩く時にへっぴり腰になってしまう人がいますので、骨盤をまっすぐ立てたら、その骨盤は寝かせることなく、骨盤を前に運ぶように歩く練習をしなければなりません。
この歩き方は、膝への負担も少なくなります。
腰が後ろにへっぴり腰になっている状態では、膝も曲がった状態で歩いていることになりますので、とても膝に負担がかかっています。
へっぴり腰を治すことは、膝痛にも有効なのです。
年を取っても、体を正しく使う練習を。
年をとるにつれて、体を正しく使うことは難しくなっていきます。
その悲鳴が慢性的な腰の痛みなわけですから、まずは自分の姿勢を正せるような治療を受けて、その姿勢を維持するトレーニングに移行することが大切です。
闇雲に筋肉トレーニングをして姿勢を悪くしてしまう方もおられますので、まずは筋肉の全体的なバランスを整えて、その上で必要なトレーニングをするべきだと思います。
やたらと腰痛を繰り返す方は、今からでも遅くありませんので、腰痛を治した後、腰痛予防をしっかりと始めるべきだと思います。
骨盤をまっすぐに起こすツボ
骨盤をまっすぐに起こすためには、骨盤全面と太ももをつなぐ部分の筋肉を緩めなければなりません。
使うツボとして有効なものは、足の甲にある「衝陽穴」です。
腰痛や骨盤のゆがみ具合を見て、右か左を使い分けることが多いです。
また、膝も伸びやすくする必要がある場合は、足首の「申脈穴」や「照海穴」も併用します。