東洋医学的なカゼの治し方

西宮の鍼灸院 甲子園鍼灸治療センター

東洋医学でカゼを治す

風邪は、ウイルスが体に入り込んで起こる病です。

これは、東洋医学、西洋医学のどちらでも同じ考えです。

ウイルスには、たくさんの種類があり、西洋医学では治療できる薬はありません。

西洋医学で処方される薬はカゼ症状緩和薬で、鼻水、くしゃみ、のどの腫れや発熱などの症状を抑えるためのものです。

発熱はウイルスを処理しようとしている現象との考え方もあるようで、解熱が必ずしも良いものではないという西洋医師もおられます。

しかし、それ以前に、カゼであると判断すること自体にあいまいさがあります。

花粉などのアレルギーは、カゼに似た症状を持つ病で、これがカゼと間違えられる場合があります。

『長引くカゼはアレルギーかもしれません』などという新聞記事を読んで、なるほど、確かに西洋医学でカゼとアレルギーの診分けがあいまいなのかもしれないな、と気づかされました。

それでも、出される薬はカゼ症状緩和薬なので、アレルギーの諸症状も緩和されます。

なので、薬が効くからやっぱりカゼなのかな、などと患者さんは考えてしまうわけです。

東洋医学でのカゼの考え方

東洋医学でもカゼは、感染症です。

これは変わりません。

そのとき、ウイルスと考えるのではなく、『外邪』(がいじゃ)といって、外から入り込んでくる悪いものというくくりでとらえています。

この外邪のうち、風に当たることで入り込んでくる悪いものを『風邪』と呼びます。

カゼではなく、『ふうじゃ』と読みます。

また、寒さによって入り込んでくるものを『寒邪』(かんじゃ)といいます。

この『風』と『寒』の邪、『風邪』(ふうじゃ)と『寒邪』(かんじゃ)が、西洋医学におけるカゼに近い東洋医学の概念で、「体の抵抗力が弱くなったところに、冷たい風に当たると、体外から入り込んでくる」ことで病になると考えるわけです。

ですから、「抵抗力を維持して、風に当たらず、冷やさずすれば、カゼにはならないよ」と東洋医学はいうわけです。

ここに東洋医学の面白さがあります。

ウイルスという考え方がなくても、予防ができるということです。

そして、この考え方は、治療法へもつながります。

冷えた場所を温め、悪いものを出す

では、東洋医学では、どのようにカゼを治すのでしょうか?

冷えて、風に当たったのが悪いわけですから、体を温めます。

当たり前のことですね。

体を温めると免疫が上がることは、西洋医学でもよく言われるようになりました。

東洋医学では至極当たり前のことで、温めて免疫力があがれば、自分の力で風邪を治すことができるのです。

そして、体から悪いものを出さなければなりません。

体の出口は、汗腺、尿路、排便の3つです。

発汗をうながし、おしっこをスムーズに出し、便をしっかりと出すのです。

つまり、冷えた場所(大体において首筋・背中)を温めて、水分をしっかりと取ります。

こうして書けば当たり前のことですね。

でも、のどが痛ければ胸を涼しくしたり、大腸が熱を持ってしまい便が乾燥して硬くなってしまったら大腸の動きを活性化させたりと、細かな症状に応じて、対処法を分類しているのが東洋医学の特徴です。

これが書かれているのが『傷寒論』(しょうかんろん)といわれる漢方薬の古典本です。

寒さに傷ついたを論じているのですね。

専門的な話になってくると長くなりますので、簡潔に。

首筋・背筋に風が当たり、ブルッと寒気が走ったら、首背中を温め、水分をたくさん取って、汗・尿・便をしっかり出しましょう。

これが、大まかではありますが、東洋医学でのカゼの対処法です。

カゼにはくれぐれもご注意ください。