西宮の鍼灸院 甲子園鍼灸治療センターです。
理想的なバランスって?
東洋医学は、バランスを整える医療といわれます。
でも、良いバランスって、なんでしょうか?
まず、思い浮かぶのは、体が歪んでいないということですね。
肩や骨盤の線がまっすぐというと、左右のバランスが取れています。
これは、目で確認できるのでわかりやすいですね。
でも、目に見えないバランスも整えることが大切と、東洋医学はいいます。
それは、どういったものなのでしょうか?
体を曲げているのは筋肉の張力
話の続きとして、体の歪みについて書きます。
まっすぐに立っているつもりでも、体が歪む人がいます。
これは、バランスが悪いですね。
理由は2つ考えられます。
①骨の形が変形している
②筋肉の張力に差がある
①は、怪我などで骨折したり、また、加齢による変形などで、骨が歪んでしまい、それが体の線に現れるというものです。
これは、骨という土台が歪んでいるので、体をまっすぐにもっていくためには、無理やりに姿勢を調整しなければなりません。
無理をすると、ひずみが他の痛みを生んでしまう可能性があるので、無理に全身をまっすぐにするのではなく、歪んで当然として、症状に影響を与えないような微調整が良いと思います。
②は、骨には異常は無いのだけれど、筋肉の張力に差があるため、体が歪んでしまうというものです。
姿勢が悪いという人は、これが多いですね。
骨に異常は無いわけですから、骨にアプローチをかけたり、無理に骨を動かしても無駄です。
筋肉の硬さを治療しなければ、治りません。
骨格のバランスを整えるということは、このように全身的な筋肉バランスを整えなければなりません。
それは、骨の変形であろうと、筋肉張力のアンバランスでも、相互に関係するので、一部を治すために全身の筋肉バランスの調整が必要なのです。
目に見えない温度の偏在
さて、バランスは必ずも体の歪みだけではありません。
最近良く耳にする、冷え性もアンバランスの症状です。
これは、熱と冷えのバランスがくるっているんです。
東洋医学では、冷えとは「熱が無い」ということではなく、冷えは冷えとして存在すると考えるべきといわれます。
ですから、冷え性の治療をするには、熱を加えて温めることも大切ですが、冷えそのものを取り除かなければなりません。
この熱や冷えは目には見えません。
だからといって、患者さんの主観に頼るだけでは、治療者は適切な治療を行えません。
やはり、診察が必要です。
ここで、脈診といわれる脈拍を診るということを行います。
呼吸数に比べ、早すぎれば熱があり、遅すぎれば冷えているということになります。
治療後に、この脈拍に変化が見られなければ、治療したとはいえないわけです。
冷えを取り除くというのには、体内の冷えた水分を代謝させてしまうことや、部分的な血流改善などの方法があります。
また、逆に更年期障害などでは、ホットフラッシュというのぼせを治療することが、足の冷えの治療になることもあります。
このように、治療をおこなう際は、冷えと熱をバランスとしてとらえて治療すべきなのです。
悪いものは無い。
バランスということを考えたとき、「悪いものはない」ということになります。
悪いものはアンバランスであって、なにか単体のものが悪いわけではないんです。
ですから、冷え性であれば、冷えが悪いわけではないのです。
冷えと対をなす熱が足りない病とも言えるわけです。
体の線が歪んでいるとすれば、あがっている部分が悪いのだとか、下がっている部分が悪いだとか、部分的なことにこだわるのは良くないのです。
大事なのは、バランスをとるということであって、あれが悪いこれが悪いとは考えないということです。
多いものを増やすのか、少ないものを足すのか。
上がっているところを下げるのか、下がっているところを上げるのか。
それをするために、全身をどのように調整するのかを考えなければならないということなのです。