脈診:春の脈は、堅すぎないのが理想。

鍼灸で春の緊張を緩める。

さて、暖かくなってきました。

今年の春は、なかなか暖かくならず、急性の痛みを発症した患者さまが多かったですね。

暦のうえでは、春なので、心も体も春の気分。

でも、気候は未だに寒いまま。

寒さで体もかじかんだまま。

ここで、春の気分で体を大きく動かした瞬間に、ピキッと筋肉が悲鳴を挙げ、そして、痛みが発生。

例年に無いほど、急性の患者さまが多い春です。

脈診で、春は張りのある脈拍。

東洋医学では、鍼灸治療を始める前に、脈診という診察を行ないます。

今では、多くの方がご存知のことですね。

この脈診では、春には春らしい張りのある拍動をするとされています。

>春は、冬の寒さによる緊張が解けて、活動的に動こうとします。

全身の筋肉には、地面から種を破り芽吹くような弾力のある張りがでてきます。

この張りが、脈診の時、脈管に表れます。

この張りのある脈の名前を『弦脈(げんみゃく)』といいます。

堅い弦が弾くように撥ねている脈の打ち方です。

昔の人は、面白いことに気付くものですね。

そして、ネーミングがいいでしょ。

『弦脈』、これが、春の脈状の特徴です。

漢字で表されるイメージ

ちょっと、関係ない話ですが。

ソチオリンピック。

男子フィギアの金メダルリスト、羽生結弦選手。

彼の結弦という名前を見ると、自分の中で弦脈という脈状を思い浮かべてしまいます。

そして、体が少し堅くなってしまうような気がしてしまいます。

弦が結ばれるという文字が、その脈状のイメージを知るものには、ちょっと体の緊張感を与えるかもしれないな、と思ったりします。

でも、その名前とはまったく逆で、滑らかな彼の滑りに感動を覚えました。

それでも、あのスピードと張りある動きは、弦という文字を持つものにふさわしい、などと勝手に想像したりしました。

弦でも、堅すぎはダメ。

と、関係ないようなことを書きましたが、

『弦脈』とは、こんなイメージなのです。

冬を乗り越えた体が、春に向けて伸びやかに動こうとする。

種から飛び出した新芽のような張り。

これが、正しい『弦脈』です。

でも、もし堅すぎるとどうなるか。

弦脈がなんだか堅すぎるなぁ、と思うと、やはり患者さんの体も堅くなっています。

春の患者さんが、肩がこりますと言ったときに脈を診ると、確かに弦脈が堅すぎるなぁ、と思えたりするわけです。

そのときは、少し弦脈が緩むような治療をします。

脈が緩んだところで患者さんに、いかがですか?、と聞いてみると少し改善したという返事をいただけたりできるわけです。

だからと言って、春の脈を緩めすぎるのも良くありません。

春はやる気の季節です。

ちょっと緊張感があって、活動的なのが良いです。

春の肩こりは、やる気の証拠といったところもあるのかもしれません。

でも、こり過ぎはダメです。

イライラしてうまくいきませんから。

春は、張りがあるのですが、なめらかに動ける体が理想なのです。