プロ用鍼灸講義初級 内因と外因
病の原因について、体内と環境の原因をご説明しました。
それぞれを内因と外因といいます。
そして、環境要因で体に悪影響を与える要因を「邪」というと説明しました。
これを外の邪として、「外邪」といいます。
外因としての外邪ということです。
それに対して、体内要因は、内因により発生したとして「内邪」といいます。
これらを内から生まれた5つの邪として、「内生五邪」といいます。
外邪より1つ少なくなります。
外邪は6つをまとめて、「六淫」とよびます。
内邪は、風・寒・湿・燥・熱の5つになります。
六淫は、風・寒・湿・燥・暑・火の6つです。
もうお分かりかと思いますが、邪とは体が処理しきれない要素ということです。
体が健康であれば、処理できるはずのものが処理できず、余分なものとして体に悪影響を与えるということです。
ですから、内生五邪であれ、外邪六淫であれ、体の不調が原因ということになります。
体が強く、とても健康であれば、邪は発生しないということです。
寒邪に負けやすい人は、外は温かい服装にして、中は温まるものを食すようにすればよいわけです。
また、冷たいものを飲みすぎたり、雪山で裸になったりしては、いくら健康でも寒邪に負けてしまいます。
鍼灸師は、患者がどのような邪に負けやすい体質なのかを判断し、邪を取り除き、負けない体になるような治療をしなければなりません。
これを「扶正袪邪」といいます。
正しきを助け、邪を取り除くということです。
つまり、体の機能を助けることと、体に悪影響を与えているものを取り除くこと、この2つを行なうということです。
これを行なうには、体のどのような機能が低下し、どのような余分なものを取り除くべきなのかを判断しなければなりません。
それを行なうために、「四診」といわれる伝統鍼灸での診察法があります。
この四診は漢方薬処方でも使われているものです。