子宮筋腫

子宮筋腫とは

子宮は平滑筋と言われる筋肉の層でできています。

子宮筋腫は、子宮の平滑筋が増殖して、筋肉のコブのような良性の腫瘍です。

それ自体が生命を脅かすものではありません。

大きさや数に統一性はなく、とても小さなものから、10㎏を超える大きなものもあります。

1個しかできないものもあれば10個以上もできてしまったりと様々です。

子宮筋腫は、30代~50代の女性に多くみられ、小さいものも含めると、30歳以上の女性の約20%に子宮筋腫があるとさえ言われている、もっともポピュラーな婦人病の一つです。

妊娠の検査で筋腫が見つかることが多いです。

子宮筋腫が不妊の原因になることもありますので、妊娠を希望されている方は注意するべき病気です。

子宮筋腫の原因は?

子宮筋腫の原因は、はっきりとはわかっていません。

筋腫の元があって、それが卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの影響で大きくなるという説があります。

そう考えられている理由は、エストロゲン分泌が活発な30代以降に筋腫が増大して、分泌が減少する更年期以降で筋腫が縮小する傾向があることからです。

しかし、更年期以降でも筋腫が縮小しないケースもあります。

エストロゲンの影響と考えられていても、そのメカニズムは不明です。

また、筋腫の元がなぜできるのかもわかっていません。

この説のほかに、免疫やストレスの影響なども考えられています。

子宮筋腫の種類

漿膜下筋腫

子宮の外側に向かってできる筋腫。

方向によって、頻尿や腰痛などの症状が起こる。

頚部筋腫

子宮の入り口の近くにできる筋腫。

妊娠した場合、出産時に産道を塞ぐことがある。

筋層内筋腫

子宮の壁の「筋層」という部分にできる筋腫。

進行すると、子宮の内腔が大きくなる。

粘膜下筋腫

子宮の内側に向かってできる筋腫。月

経時の異常が起こりやすい。

筋腫分娩

粘膜下筋腫が茎を持ち、子宮口から膣内に出てしまう。

子宮筋腫は筋腫が発生する場所によって3つのタイプに分類されます。

これらのうち、「粘膜下筋腫」と「筋層内筋腫」は、妊娠の妨げになやすいとそれています。

特に粘膜下筋腫は子宮内腔まで突出するため、小さな筋腫でも受精卵の着床の邪魔になることがあります。

子宮筋腫の症状は?

初期には自覚症状がほとんどありません。

筋腫が大きくなるにつれて症状があらわれることがあります。

筋腫の場所によりますので、大きくなっても無症状のことも多いです。

子宮がこぶし大以上になると、おなかの上からさわっただけで、筋腫がわかるようになります。

子宮筋腫の症状としては、月経過多や不正出血、激しい月経痛になることがあります。

とくに、月経過多で出血量が多いことは危険を伴います。

出血量が多い時は、筋腫の摘出が必要な場合があります。

また、月経期間が異常に長く続く、血の塊が出る、また、不正出血が長く続く場合は、貧血になることがあります。

慢性化すると階段や坂道を上るのがつらい、すぐに疲れるなど日常生活にも支障をきたすようになってきます。

筋腫が周囲と癒着(ゆちゃく)している場合には、激しい月経痛や下腹痛をともなうことがあります。

また、「漿膜下筋腫」では、激しい腹痛をおこすことがあります。

その他、筋腫で膀胱や直腸が圧迫され、頻尿や便秘になったりします。

残尿感や残便感、膨満感を覚えたりすることがあります。

また、背部に筋腫ができると、骨盤内の神経や脊髄(せきずい)が圧迫し、腰痛になる人もいます。

病院ではどのような治療法?

子宮筋腫は良性の腫瘍のため、病院ではまず過観察で様子を見ます。

しかし、月経の異常が強かったり、月経過多による重症の貧血をきたす場合は、服薬や手術が行なわれます。

そのほか、不妊症や流産の原因と考えられる場合も同様です。

ホルモン治療は女性ホルモンの分泌を抑えることで子宮筋腫の収縮を狙います。

ですが、薬をやめると筋腫は再び発育するため、効果は一時的です。

手術には、子宮ごと摘出する「子宮全摘出手術」と、子宮は残して筋腫だけを摘出する手術があります。

筋腫の位置や大きさ、年齢、妊娠の希望などによって検討されます。

子宮の全摘出を行なうと生理が止まり突然に更年期に入るということになりますので、時にはひどい更年期症状に悩まされます。

妊娠を希望する場合の手術は、筋腫のみ摘出が優先されます。

ですが、この場合、筋腫の再発や癒着(ゆちゃく)のリスクがあるといわれています。

当院での子宮筋腫の鍼灸治療

当院での鍼灸治療は、子宮筋腫に伴う諸症状を考慮して行ないます。

子宮筋腫にたいする西洋医学のアプローチは、最終的には手術になりますが、小さな筋腫がたくさんあるなどで、子宮全摘手術ほどではないが、だらといって部分手術が難しい時は、経過観察となってしまいます。

子宮筋腫では、月経過多や生理不順、月経痛、生理不順が発症します。

東洋医学では、実は子宮筋腫でこれらの症状が出るのではなく、これら婦人科の症状が子宮筋腫を作ると考えています。

そして、その子宮筋腫がさらに婦人科症状を悪化させるとしています。

ですから、子宮筋腫の鍼灸治療では、婦人科症状も一緒に治療していきます。

治療で使うツボは、子宮筋腫に対しては、腹部を触って固い場所に皮膚の深さ程度で鍼を置きます。

大体4箇所ぐらいです。

そして、ホルモンバランスを整えるとされる「三陰交穴」、子宮の血流をよくするとされる「太衝穴」で婦人科症状全体を整えます。

また、のぼせて下半身の血流が悪くなっているときは、「足三里穴」「血海穴」「行間穴」を組み合わせます。

また、一番嫌なのは大量の月経出血ですので、その際は下腹部の「石門穴」を温めます。

こうすることで、子宮内の血流を正常化、改善し、子宮のコリである筋腫を和らげていきます。

養生法としては、下半身を冷やさないようにして、足腰の運動をしっかり行ない、生理前には食べ過ぎて子宮に送るべき血を胃腸で使ってしまわないようにすることです。

子宮が温かく、血も豊富で、ゆったりと安心させてあげるようにしましょう。