更年期障害の鍼灸治療
更年期障害は、エストロゲンの分泌バランスが崩れることにより起こる病気です。
更年期障害は主に閉経期前後の40~55歳ころの女性に起こります。
更年期とは、一般的に閉経前後の各5年間計10年間を指すことが多いですが、各個人の病態に応じて前後します。
更年期には、急速に性腺機能が低下して、卵巣の機能が停止します。
そして、ホルモンバランスが変化し、様々な症状がでてくるわけです。
なお、日本人の平均閉経年齢は50歳です。
東洋医学では、女性は7歳ごとにからだが変化して行くと考えられており、7才を7回繰り返して49歳で生理が止まるとされています。
更年期障害の症状
1)月経異常
月経周期が不安定になってきます。
その後月経周期が延長して、月経回数が減ってきます。
最終的に生理が止まり、閉経となります。
この間に不正出血が出現することもあります。
2)血管反応性の変化
ホットフラッシュといわれる突然のほてり、のぼせが更年期障害の代表的な症状です。
ホルモンバランスの変化によって生じると考えられています。
突然おこる熱感で身体から顔や手足へと広がり、発汗、動悸を伴うこともあります。
3)精神症状
ホルモンバランスの変化で精神的不安定感を生じます。
また、今までの自分とは全く違う体感も不安を感じてしまいます。
ひどい時は。不眠やうつ症状が出現します。
4)泌尿生殖器症状
膀胱および周辺の筋力低下にため、頻尿(排尿回数の増加)、尿失禁などが出現します。
閉経により膣前庭の灼熱感、掻痒感、乾燥感を感じるようになります。
5)その他:
骨粗鬆症、高脂血症、動脈硬化などがあらわれます。
西洋医学の更年期障害
西洋医学では、更年期障害の疑いがある時は、血液検査でホルモンの状態を確認します。
更年期と診断されるためには、老化した卵巣を活発にしようとして脳下垂体(のうかすいたい)から大量に分泌される性腺刺激ホルモンの値が高いことを確認することが重要です。
一度だけの血液ホルモン検査では、エストロゲンが正常な値を示すことがあります。
更年期障害は、全身の状態がホルモンの変化に慣れてくれば、自然によくなると考えられています。
更年期障害では、内科疾患、整形外科疾患、脳神経外科疾患、耳鼻科疾患あるいは精神科疾患と類似した症状を示すことがありますので、複数の診療科の受診が必要になることもあります。
更年期障害に対する西洋医療は、ホルモン療法が有効です。
その他、精神安定剤を使って治療することもあります。
ですが、あくまでも対処療法であり、根本的な治療にはなりません。
更年期障害の症状は、ホルモンバランス生活習慣を改めることにより更年期障害の症状が軽くなることもあります。
当院の更年期障害の鍼灸治療
当院の更年期障害の治療目的は、更年期障害の回復程度を高めることと更年期障害が完治するまでの時間の短縮することです。
西洋医学の治療法は、ホルモン療法や精神安定剤の薬物療法で、あくまでも対処療法であり、根本的治療になりません。
精神安定剤などは、時折、薬物依存に陥ることもあります。
女性の体が年齢に応じて変わっていくことは当然のことです。
その変化の段階を東洋医学は何千年も前に気づいていました。
その変化を無理なく速やかに行なわせることが大切であると東洋医学では考えられていす。
更年期障害の主な症状は、ホットフラッシュという突然ののぼせです。
こののぼせの症状は、ホルモンバランスの変化からきているのですが、足腰に冷えを持つ人は冷えのぼせの傾向を持っていますので、このホットフラッシュが特に強くあらわれます。
ですから、ホットフラッシュの症状が出ていても足先は冷たいという方は多いです。
また、のぼせ以外の症状、例えば胃腸症状でももともと胃腸が弱いとは、更年期での胃腸症状が強く出る傾向があります。
つまり、もともと持っている体質としての弱点にホルモンバランスの変化の症状が乗ってくるわけです。
それは本当につらいことだと思います。
更年期障害で使うツボ
更年期障害で使うツボは、やはり、まずはホルモンバランスを調整して、体に負担がかからないようにしなければなりません。
使うツボは、「三陰交穴」「太衝穴」などです。
これらのツボを左右使い分けて、ホルモンバランスを調整します(ツボは左右で働きが違います)。
そして、主症状ののぼせには、「居りょう穴」や「行間穴」などを使います。
胃腸症状では「足三里穴」や「内関穴」、精神的症状では「神門穴」や「心ゆ穴」をつかいます。
ホルモンバランスを体に負担のかからないよう調整しつつ、様々症状の治療とその原因となっている体質を整えます。
こういう治療をしていくことで、更年期という時期をスムーズに受け入れられる体になります。
人の体は変化していくものです。
その変化に対応できるからだ作りが大切なのです。