片頭痛の鍼灸治療
片頭痛は、慢性頭痛の代表的な病気の一つです。
頭の片側(時に両側)に強い痛みに襲われます。
発症は多くが発作的で、月に1、2回、ひどい時は週2、3回起こります。
症状がひどいときは、吐き気やめまいなどを伴います。
片頭痛の種類
片頭痛には、いろいろな種類があります。
風邪や二日酔いによる頭痛は、患者さんご自身でも分かりやすい頭痛です。
その他、脳の病気が原因での頭痛は、命の危険にかかわるものです。
くも膜下出血や脳腫瘍が原因でとても危険です。
しかし、多くの頭痛は原因が明確でなく、時には様々な原因が重なって症状を発しているものもあり、それらは慢性頭痛といいます。
慢性頭痛の種類
慢性頭痛は、
・片頭痛
・筋緊張型頭痛
・群発性頭痛
の三つに分けられます。
原因不明で、繰り返し起きる頭痛です
片頭痛
頭の片側、或いは両側にズキンズキンとした痛みが起こります。
吐き気がしたり、光をチカチカとまぶしく感じる、音を敏感になるなどの症状が伴います。
女性に多いです。
筋緊張型頭痛
慢性頭痛のなかでは発生頻度の一番高い頭痛で、筋肉が持続性収縮により頭痛を発生します。
原因は首肩のコリ、姿勢が悪い、頚椎の歪みなどにより、頭周辺の筋緊張です。
ストレス、過労、上肢の過度の使用などで生じてきます。
痛みの特徴は、均一性の痛みで、後頭部から首筋にかけて両側痛みがでます。
月に数回、多いときは週に数回発症することもあります。
痛みの持続は、数十分で消えるものもあれば、一週間以上続くものもあります。
また、症状が弱くなったり、強くなったりを繰り返します。
痛みの部位は、筋緊張を伴いやすい後頭部から首を中心、そこから頭全体に広がることもあります。
群発性頭痛
年に数回から数年に1回位の頻度で起こり、転げまわる人もいるほどの痛みで、頭痛の中でも最も症状が重い頭痛です。
発症すると1-2ヶ月にわたって、ほとんど毎日同じ時間帯に症状が現れます。
痛みの特徴は、片側の目の奥の強い痛み、ほぼ同じ時間帯に激しい頭痛が発生する、同じ側に涙、鼻水などの症状があります、アルコールを飲むとよりひどくなります。
群発頭痛の原因についてはまだ解明されていませんが、以下の要因が考えられています。
眼球の奥にある内頸動脈という太い動脈が拡張し、周囲の神経を圧迫するとともに、炎症を起こして痛みが生じます。
ですが、血管拡張の原因は不明です。
副交感神経が関係していると考えられています。
飲酒で群発頭痛が誘発されるのは、飲酒による血管拡張が直接原因ではなく、拡張後収縮した血管が再拡張し、このときに激しい痛みを伴います。
なぜ、発作を繰り返すのかはわかっていません。
体内時計との関係が考えられています。
西洋医学の治療
片頭痛の治療は、鎮痛剤や血管収縮剤などでどうしてもその場しのぎの治療になってしまいます。
薬物療法はあくまでも対症療法で、この病気を根治することは難しいです。
また、薬の副作用による眠気、倦怠感も無視できないものです。
当院での片頭痛治療
片頭痛の鍼灸治療は効果が高く、副作用もなく、片頭痛患者にとって薬物療法よりも理想的な治療方法だといえます。
また、痛みを止めるだけではなく、発症の原因を治療しますので、再発を防ぐ効果が望めます。
中医学では、頭痛を三種類に分けていま。
肝陽頭痛
肝臓の働きが悪く、血流が滞り、体内に熱がこもってしまい、筋肉が固くなっています。
症候としては、一側性の頭痛が多く、眩暈、顔面部のほてり、怒りぽっい、口が苦い、目が赤く、舌も赤くなって、舌苔は薄いです。
脈診で、弦脈(琴の弦を按じるような感じ)が診られます。
痰濁頭痛
胃腸の働きが弱く、消化がうまく行なわれないので、体内に粘った水分が溜まってしまっています。
胃と関係するおでこ痛みが出ます。
消化症状として、胸苦しく、悪心嘔吐、腹痛が伴います。
腸の働きが悪く便はゆるくなります。
舌苔は白く分厚く、脈診では珠が転がっているような滑脈が診られます。
血瘀頭痛
ストレスや運動不足、冷えなどが理由で血流が悪くなっています。
頭痛は、刺されるような痛みで、痛みの場所は固定されています。
目が疲れる、記憶減退を伴います。
舌色は血流が悪く紫色で、脈診では渋脈(血が滞っている)が現れます。
治療で使うツボ
肝陽頭痛では肝臓内の血流を改善するとされるツボを使います。
痰濁頭痛は胃腸の働きを助けるツボを使い、水分代謝を良くします。
血瘀頭痛は血流を改善し、全体的な緊張を和らげます。
症状を和らげる効果をもつツボとして、百会穴、風池穴、太陽穴、合谷穴などを使います。
そして、体質改善の治療として、
肝陽頭痛は 太衝穴、行間穴など
痰濁頭痛は 豊隆穴、足三里穴、太白穴など
血瘀頭痛は 三陰交穴、膈ゆ穴、血海穴など
を加えます。
体質を改善することが大切です。
体質が改善すれば、症状は自然に治りますし、再発も防止できます。
そのため、体質に合った生活指導のカウンセリングもさせていただきます。