ぎっくり腰の鍼灸治療
ぎっくり腰は、急に腰が痛み動けなくなるものの総称です。
レントゲンやMRI検査をしても異常が無いことも多く、現代の西洋医学検査では異常がみつかりません。
こういった場合、筋肉に異常があることが多く、それは現代医学では検査できないのです。
多くの場合、腰周辺の筋肉に異常が発生しています。
腰の筋肉の異常がぎっくり腰
異常が起こっている筋肉としては、大腰筋、脊柱起立筋、中小殿筋などが考えられます。
大腰筋に異常が起こっているときは、姿勢は前屈みになってしまい腰が真っ直ぐ伸びません。
そして、咳やくしゃみで腰に響いて痛みが増します。
大腰筋は深い場所にある大きな腰の筋肉で、傷めると激しい痛みに悩まされます。
痛みのせいで、寝返りをうつのも一苦労というひどい状態に陥ります。
そして、もっとひどくなると、トイレにすら行けなくなります。
寝ているときは、横を向いて、からだを丸くして、赤ちゃんのような寝方をすると痛みはましです。
また、大腰筋以外に脊柱起立筋を痛めたときは、前屈ができません。
前にかがめないので、背すじをまっすぐにしてそのまま動けなくなります。
そして、中小殿筋を痛めた時は、痛めた側を使えないので、からだを横にゆがめたままの姿勢になってしまいます。
ぎっくり腰の原因は
ぎっくり腰の原因は、急な運動です。
重たいものを持ち上げるとか、かがむ、くしゃみをするなど、ほんの少しの瞬間的なの動きにより起こります。
それらの動きを普段より強めにやるとぎっくり腰になりやすいといわれていますが、疲れがたまっていたりすると普段通りになんということのない動きでも突然の痛みに襲われたりします。
普段通り使っていても、知らず知らずのうちに筋肉には疲れが溜まっているものです。
ましてや、普段以上のことをすれば、筋肉に突然の負担がかかり、ぎっくり腰になりやすいです。
また、腰が冷えていても筋肉が動きにくい状況ですから、ぎっくり腰になりやすいですね。
寒い季節になるとぎっくり腰の患者が増えてくるのは、これが理由です。
そして、朝は筋肉が動きにくいです。ですから、朝にぎっくり腰は起きやすいです。
起床時は何気ない動きでぎっくり腰になることが多々あります。
一度ぎっくり腰になると、繰り返す事が多いです。
それは、治療をおろそかにして治しきれておらず、筋肉が少し動きにくいままになっているということもあると思います。
また、ぎっくり腰になるような動かし方が癖になっているか、生活習慣(腰を冷やしているなど)が原因かもしれません。
ぎっくり腰を繰り返したり、それを慢性化させて腰の筋肉を緊張させた状態が長く続くと、神経圧迫による神経痛、腰椎すべり症、分離症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの原因になることがありますので、しっかりと治しましょう。
ぎっくり腰の鍼灸治療
ギックリ腰になれば、腰の痛みで仰向けやうつ伏せがつらくなります。
ですが、腰を丸めると楽ですので、横向きに寝てもらうか、仰向けで膝を曲げて寝てもらいます。
膝の裏に「委中穴」という急性の腰痛にとてもよく効くツボがあります。
そして、手と足の甲に腰痛治療のツボがあります。
これらを使って、まずは腰の痛みを軽減して、動きやすくします。
そして、動きやすくなれば、体勢を変えてもらい背中、腰に鍼をします。
マッサージをすると、ぎっくり腰は炎症が悪化し、悪くなることが多いので、決して素人はマッサージはしないでください。
当院では、音波治療器を腰に当てることで、炎症を悪化させないマッサージ効果を実現しています。
ぎっくり腰の治療回数は、3回ぐらいです。
重い痛みが少し残るようなら、5回ぐらいになることもあります。
程度によりますが、これはぎっくり腰の頻度や状態によってかわります。
もし、慢性腰痛を持っているとまた、ぎっくり腰になりやすいので、しっかりと治しておくことをおすすめします。
ぎっくり腰が癖にならないためにしっかりと治しきることをおすすめします。
ぎっくり腰の養生法
ぎっくり腰の時は、コルセットや固定ベルトの着用をおすすめしたいます。
その際、着用場所は腰というよりも、骨盤を固定すると腰が安定して楽になることが多いです。
ですが、長くつけすぎると、腰の筋肉が低下してしまい腰によくありません。
ぎっくり腰で安静にするのは1週間ぐらいにしておいて、コルセットもそれぐらいで外してしまいましょう。
ですが、無理はいけませんので、様子を見ながら、ゆっくりと動かしてもらうのが良いと思います。
よく患者さんに温めるのと冷やすのとどちらがいいかと聞かれます。
ぎっくり腰は筋肉に炎症があることがありますので、最初3日ぐらいは冷やすのが無難です。
ですが、それ以降は血行を良くして腰の筋肉を回復させなければなりませんので、温めるようにします。
ぎっくり腰は、痛みが引くにつれて温めて動かしていくべきなのですが、その判断は簡単ではありませんので、専門家に聞くようにしましょう。