西宮 鍼灸院 甲子園鍼灸治療センターです。
季節で変る動脈の緊張具合。
東洋医学には、脈診という変わった診察法があります。
ご存知の方も多いと思います。
本格的に漢方薬を処方してもらったことがある方であれば、脈診をしてもらったことがあるはずです。
鍼灸も漢方も治療理論は同じなんです。
漢方なら脈診で生薬を選びます。
鍼灸では、脈診でツボを選ぶというわけです。
脈診などの診察法を使い、症状の原因をつかむことが、治療ではとても大切なのです。
全体的に脈を診る
さて・・・、
その脈診の中で、手首の動脈の全体的な状態を診ることで、体の状況を読み取るという方法があります。
これは、漢方の診察でも使われる中医学(中国医学)のもので、とてもスタンダードな脈診の方法です。
この方法を『脈状診』といいます。
ぱっと脈を取って、その動脈の状態を全体的に読み取るんです。
この時に診られる脈状というものは、季節によって、形が変わるんです。
脈状診といわれるこの方法は、動脈の状態で病の原因を突き止めると思っている方も多いと思います。
ですが、実は、ちょっと違うのです。
脈状は、季節でも変る。
動脈の状態は季節によって変ります。
この脈状が季節によって変わるということは、伝統医学に携わる人なら誰もが知っています。
そして、困ったことに、この脈状は患者の病気の状態によっても変るのです。
つまり、季節によって変る脈状。
病によって変る脈状。
この二つのことを同時に頭で考えないとダメなわけです。
脈状診というのは、どのように季節に影響を受けながら、その病がどのような状態であるかがわかる診察方法というわけです。
人の健康は、体内と環境のバランスで維持される。
人の体は、環境に適応しようとしています。
その適応とは、体内の状態が変るということです。
その季節の移り変わりに合わせて変化する体内の状態が、脈状として表れるわけです。
もし、季節の環境に順応できないと、病にかかり、季節と違う脈状が現れるのです。
ですから、脈状診では、まず、季節に応じた脈状になっているかを確認します。
もしも、季節の脈になっていなかったら、その脈状から季節の脈状を引いて、病の状態として読み取るわけです。
なんとも面倒くさい感じがしますが、それが東洋医学の特徴ですので仕方がありませんね。
自然と共に生きる、という東洋医学の考え方は、こういった診察法にも入っているわけです。
春には、脈は張りが出て堅くなり、ギターの弦のように撥ねるように打ちます。
患者様にこういう脈状が表れると、東洋医学に携わるものは、あぁ春だなぁ、などと季節の変化を感じるのです。
そして、春でもないのに、このような脈を見つけたら、肝臓や筋肉の疾患を疑うのです。