過敏性腸症候群に鍼灸治療

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは、ストレスや食生活などの要因によって、腸が過敏に反応して下痢などの消化器症状を引き起こす病気です。

過敏性腸症候群は、西洋医学では特効薬はありません。

過敏性腸症候群の患者さんは、日常生活に大きな影響を受けることも多く、精神的な苦痛も大きいです。

過敏性腸症候群と自律神経

過敏性腸症候群の発症には、自律神経の乱れが大きく関係しています。

自律神経とは、心臓や呼吸器などの内臓や血管などの働きを自動的に調節する神経系です。

自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれており、交感神経は興奮やストレスなどで活性化されて身体を戦闘態勢にし、副交感神経はリラックスや睡眠などで活性化されて身体を休息態勢にします。

自律神経は、通常はバランスよく働いていますが、ストレスや不規則な生活などで交感神経が優位になりすぎると、自律神経のバランスが崩れます。

このとき、腸は自律神経の不調の影響を受けて、下痢などの消化器症状を起こします。

過敏性腸症候群に鍼灸治療

鍼灸とは、体の特定の部位に鍼や灸を用いて刺激を与えることで、体の機能を調整し、病気を治したり予防したりする伝統的な東洋医学の一つです。

鍼灸は、西洋医学では説明が難しい「気」という概念に基づいています。

気とは、生命活動に必要なエネルギーであり、血液や水分と共に体内を流れています。

気の流れが滞ったり乱れたりすると、体のバランスが崩れて病気になります。

鍼灸は、気の流れを改善することで、体の自然治癒力を高めると考えられています。

鍼灸で過敏性腸症候群に自律神経からアプローチ

鍼灸は、自律神経のバランスを整えることで、過敏性腸症候群に効果的です。

鍼灸は、交感神経が過剰に活動している場合は副交感神経を刺激し、副交感神経が過剰に活動している場合は交感神経を刺激することで、自律神経のバランスを調整します。

また、鍼灸は、腸の動きを正常化することで、下痢や便秘などの消化器症状を改善します。

さらに、鍼灸は、ストレスや不安などの精神的な要因にも働きかけて、リラックス効果や気分の安定効果もあります。

鍼灸は慢性の下痢にも効果的

鍼灸は、慢性の下痢にも効果的です。

自律神経との観点からストレス性の下痢である過敏性腸症候群に対しての有効性を説明しましたが、他にも下痢の原因となる病気や状態に対しても鍼灸は有効です。

例えば、食物アレルギーや感染性下痢などの場合は、免疫を調整する鍼灸がおすすめです。

また、更年期障害を原因とする場合は、ホルモンバランスを整える鍼灸がおすすめです。

鍼灸は、個々の患者さんの体質や症状に合わせて施術することで、最適な効果を得ることができます。

どこに行っても良くならない下痢や軟便に鍼灸

鍼灸は、慢性の下痢に悩む方にとって、安全で自然な治療法です。

副作用がほとんどなく、薬物治療と併用することも可能です。

鍼灸は、西洋医学では解決できない問題に対しても有効な手段となり得ます。